BSE全頭検査、20カ月以下を除外 安全委が緩和容認】(朝日 3/28)

牛海綿状脳症(BSE)の国内対策見直し案を審議している食品安全委員会プリオン専門調査会は28日、全頭検査の対象から生後20カ月以下の牛を除外する新たな基準を容認することで合意した。

まだ未知の部分が多い病原体に対し、この様に外圧に負けるような形で結論を出しても良いのだろうか。

折りしも、福岡伸一氏の「もう牛を食べても安心か (文春新書)」を読んでいるところである。各紙の記事を読む限り、事態は、福岡氏の危惧している点は解決どころか、放置されたまま推移している。
本日は朝日新聞読売新聞産経新聞の三紙がその社説でこのBSE全頭検査緩和のニュースを論じている。
朝日は今回の結論は妥当なものだとしているものの、米国産牛肉の安全性についてはさらなる審議が必要との立場だ。ま、ごもっともといったところだろう。
読売は早期に輸入再開するべきだとの立場で、今後も輸入再開まで早急なる対応が望まれ、今回の緩和決定も遅すぎると断じている。この主張はいただけない。一方の学者の言い分を鵜呑みにし、それを"常識"とまで言い放っている。本記者は、他方の学者の意見を全く知らないのか、単に無視しているだけなのだろうか。
産経は、消費者がリスクについて適切に判断できる材料を政府は示すべきだとし、輸入再開に対してはポジティブな印象だ。あまりにも主張が薄く、読むに値しない。
現在の日本では、100%ではないが、できるだけのことをした結果、できるだけ安全な牛肉が市場に出ていると消費者は信じているのである。ここに安全性が著しく低下した商品が流入してきた場合、表示の偽装が当たり前化している現在である、当然、牛肉の安全性は流入してきた商品と同等か、場合によってはそれ以下とみなすだろう。
産経新聞は「消費者の側も「食の安全」には自ら判断することも求められる時代になっている。」等と簡単に書く。何を根拠に判断すれば良い? 偽装を暴くことができるのは誰だ? 個々の消費者が調べることができることなんて、高が知れている。メディアには問題の本質を履き違えることなく、必要かつ論理的な議論を展開してもらいたい。最近のLivedoorとフジテレビの取り扱いを眺めていると、そんな要望は望むべくもなさそうだ。。。