死んだらどうなるの? 玄侑宗久(著) ちくまプリマー新書】(05-011)
死んだらどうなるの? (ちくまプリマー新書)

人生が変化そのものだと認識できるなら、その変化の最終形である死にスムーズなランディングをすることは、もしかすると技術と思考の方向づけによって、可能なのではないかと思うのだ。

小学校低学年の頃だったと思う。私は僧侶になりたいと思い、一生懸命お経を聞いて覚えようとしたことがあった。理由は覚えていない。また、小学校6年生の時、永平寺という禅寺に一泊して坐禅を体験した時の緊張とワクワク感は今も覚えている(既に瞑想のかけらもしていないということだが)。そして今、ほぼ無宗教に近い生活を送っている。
本書「死んだらどうなるの?」は高校生以下をターゲットとして、死や魂、あの世といったテーマを、物理学や心理学、仏教とそれ以外の宗教を切り口に、出来るだけ平易な言葉で表現しようと試みている。法事の時に聞くことができるお坊さんの説教の様な感覚で、楽しく考えながら読むことができた。難解な部分もあったものの、変な宗教臭さのない本書。これからも時折、手にとってみたいし、子供にもそれなりの年齢になったら読んでもらいたい一冊である。
死について考えることとは、即ち、人生を考えることだと思う。そんなことを考える機会をたまに持つことは、いい刺激になるだろう。