子供に「死」をどう教えるか】(日経BP 1/31)

大人が「死」をタブー視していることで、子どもは現実の「死」から隔離され、イメージだけをメディアなどで受け取ってしまう。自ら考えて理解しようとせずに、「なんとなく」わかったつもりになってしまう。「葬式は子どもが行くところじゃない、と言われて連れて行ってもらえなかった」「飼っていたカブトムシが死んだことがあったけれど、親が翌日デパートでまた買ってきてくれた」などの大学生の体験談(記事による)は、リアリティがある。私自身が子どものころにも、「お棺に近づいてお別れを言わなくてもいいから」などと、子どもがショックを受けないように「配慮」された経験がある。

今時の子供は本当に一般に上記の様に「配慮」されているのか? 少なくとも、私も妻もそうではなかった。従い、私達の子供にもそんな「配慮」はあまりしていない。お葬式にだって連れて行くし、お棺の中の仏様にお別れも一緒にする。飼っていたクワガタが死んだ時も、あえて一緒に庭先に埋めた。これって普通のことだよね。
ただ、昨年末の津波被害ニュースでは、日本と海外のメディアの報道姿勢には大きな差異を感じた。日本のメディアは生きている被災者と遺体が片付けられた被災現場の写真が殆どだった。対する海外メディアでは、トラックの荷台に山積みにされている遺体、被災現場のあちらこちらに横たわる遺体の写真が、ウェブサイトに多く掲載されていた。イラクの戦況についても同様のことが言える。このことから、子どものみならず、大人も含め、日本全体に「死」をタブー視する傾向は強いということは分かる。
しかしながら、命の大切さを教える為には、死についての理解は不可欠だと思う。人間の一生とは限られたものだという考えは大切だ。死に触れられる機会があれば、その機会を生かしたいと思う。1/29の日記で紹介した『青空のむこう―ジュニア版』も親子で死について会話を持ついい機会を提供してくれた。この間、本屋で目にした『子どもに伝えるイラク戦争』なんかも「死」のみならず、「戦争」というタブーに触れられる良い本だと思った。

子どもに伝えるイラク戦争

子どもに伝えるイラク戦争