遮光, 中村文則(著)】(05-002)
このての本は殆ど読まない。新潮社のメルマガで「愛する者を失った「私」は、他人が知れば驚愕する、ある物を持ち歩いている。」と紹介されていて、"驚愕する"物ってなんだろうと思い、読むことにした。人にはあまり勧められない。
私はこの主人公程のどうしようもない喪失感・悲しみ・苦しみを味わったことは生涯一度も無い。これから先、味わうかどうかも分からない。ただ、この喪失感・悲しみ・苦しみの根底には、失ったものの大きさを、そのものを失う前に気付くことができなかった後悔が横たわっているのではないのだろうか。叶うことなら、何かを失った時、そのような深く大きな後悔を持つことの無いよう、生きたい。気が触れる程の悲しみや苦しみを味わう可能性は、もちろん誰にでもあるだろう。僕にはこの小説を好きになることはできないが、完全に否定することもできない。