(09-028)アレグリア

アレグリアとは仕事はできない

アレグリアとは仕事はできない


1話目に出てくるアレグリアとは最新のプリンタ・スキャナ複合機の品名。複雑な処理はいとも容易くこなし、他の社員を満足させている。しかし、単純なコピーをとりたいだけの主人公の言うことは聞いてくれない、、、というお話。


2話目はある地下鉄車内での出来事をそこに乗車している複数の乗客の視点から描きながら、一つの問題に焦点を当てている。


モノを擬人化するというのは、実はよく理解できる。
就職してこの方、様々な機器の面倒を見てきたけれど、トラブルの無い機器なんて一切無い。
オフィスのPCだってすぐに機嫌を損ねるのだから。
そしてぶつけ先の無い呪詛を機器達に静かに叩きつけながら仕事をしている。
主人公ミノベの気持ちはよぉ〜く分かる。


通勤列車内には色々なものが詰まっているけれど、本書はその一部を拾っているわけだ。本になるくらいだから、僕と同じようにイライラを感じている人も居ることが分かってホッとする。とは言え、朝からギュウギュウに詰め込まれた車内で一人ニコニコと立っているのも変な話なので、皆がムッツリと、どちらかといえばイライラした表情で揺られているのは無理もない。
勝手に作り上げたプライベートルールを他人に押し付けてそこかしこでは小さなバトルが繰り広げられる。そんな中だからこそ、小さな親切を目にした時や、小さな親切を提供できたときは気持ちがいい。ホッと気の抜ける一瞬がどんなに大切か。たまには僕もそんな一瞬を提供できるといいな。