(07-024)江戸の民衆世界

成熟する江戸 (日本の歴史)

成熟する江戸 (日本の歴史)

重要なのは社会の基盤を構成する無数の社会集団を摘出し、その一つひとつが担った『小さな』歴史の実像を歴史の闇から拾い出すことにある。そうして見いだした社会集団相互の「重層と複合」関係を明らかにし、さらに領主権力や社会的権力によって分節構造として存立するあり方を解明すること、その上で複数の分節構造を包摂する社会の全体像を叙述すること、これが第一章で述べた全体史へと近づく道ではないかと考える。(P.355)

小中学校の歴史で習った「士農工商」といった単純な身分構成だけでなく、その周辺についてもかなり詳しく述べられている。その時代の生活者をつぶさに描写することで、支配する側とされる側といったTV時代劇的な見方が完全に覆される。
口絵で紹介された『熙代勝覧』に描かれている江戸世界にはス〜っと引き込まれてしまった。