(07-012)現在の歴史的な位置付けは?

一揆と戦国大名 (日本の歴史)

一揆と戦国大名 (日本の歴史)

本書では、十五世紀の終わりから十六世紀の半ば過ぎまでの時代について、「一揆」と「戦国大名」をキーワードに描かれている。誰某が領土をどのように広げていったか、ということはそれほど記載されていないものの、興味深い考察がたくさん含まれていた。
庶民の登場、撰銭現象や通貨政策などの経済的なもの、とりわけ、飢饉と戦争の関係についての考察が印象的だ。従来の「戦争の惨禍として飢饉が発生した」という考えを逆転させ「飢饉で生き延びる方策として戦争を行なった」とする考えは説得力があり、その考えは目から鱗である。「十六世紀に進んだ寒冷化→飢饉頻発→結果or並行して地域支配を強めた戦国大名の台頭→自身のみならず領民を生き延びる政策としての遠征→戦国」という流れだ。
また、戦国時代を「人間の制御しうる身体を追及し始めた時代」とし、現在を「その追及してきた結果として、それが人間にもコントロールできない域に達してしまった時代」とする見方は面白い。折りしも地球規模の気候変動と人口増加により、世界は大規模な飢饉の入口に立っていると言えなくもない。今後、穀物そして水の奪い合いが始まらないとは誰も断定できないのではないだろうか。そんな中、資源も乏しく、食料自給率も低い日本がどのように生き残っていくのか、一人ひとりが真面目に考え、仕事や子育てに生かしていかないといけないと思う。