(06-018)

NobuHat2006-06-17

律令国家の転換と「日本」 (日本の歴史)

律令国家の転換と「日本」 (日本の歴史)

初期平安時代の歴史を綴ったもので、九世紀が日本の歴史においてその後の日本国家の政治体質の礎を築いた時期としている。
徴税の章が一番興味深かった。徴税する側とされる側の論理のずれにより生じる荒廃と、荒廃を隠すための小手先の対策、それに乗じて富を増やす輩の狡猾さが面白い。
二番目に興味深かったのは、さらなる天皇の象徴化。既に実力を振るっていた大王ではなくなり、外国に対しては自らを「神」と名乗ることができず苦労する様、系譜上の位置によって幼い子供でも天皇となることができ、後ろ盾として力をつけた摂関家が実権を握る様である。今後武家が台頭してくる素地も築かれたことが読み取れる。
三番目、最澄の弟子である円仁の日記を纏めた『円仁 唐代中国への旅 (講談社学術文庫)』を読みたくなった。