(06-009)

縄文の生活誌-改訂版 (日本の歴史)

縄文の生活誌-改訂版 (日本の歴史)

縄文時代を中心に後期旧石器時代に触れながら当時の生活を描いた本。講談社の「日本の歴史シリーズ」の01巻。
村道雄氏が自論を物語調を交えながら語り、事実を補足するという手法で分かりやすくしようとしているようだが、仮説を事実のように断定的に述べているところが散見される為、混乱を招きやすいかもしれない。手法的には、発見された事実を記載してから自論を展開するという方が好ましい。ただ、基本的な専門用語を分かり易く説明している点、巻末に年表が付されている点は素人の僕にとってはかなり助かった。本著を読んでから他の学者の本を読むと、この時代における考古学の論点がより見え易くなるだろう。
それにしても、本著改訂の原因となった2000年11月発覚の藤村新一捏造事件について述べている章は、言い分けを並べるのではなく、訂正すべき部分のみを記載すれば良かったのにと思う。
それにしても、七十数万年以前の磁極が今とは全く逆となる時期(逆磁極期)があったことは、恥ずかしながら初めて知った。磁北が真北ではないことや少しずつ動くことはアウトドアの本などに書いてあるので知っていたが、磁極が全く逆になるなんてびっくり。