(06-006)

縄文の実像を求めて (歴史文化ライブラリー)

縄文の実像を求めて (歴史文化ライブラリー)

本書は冒頭にあるとおり、「縄文時代とはどんな時代であったかを、最新の資料を動員して大胆に、しかし冷静に構想しようと」したもの。
小中と歴史が好きだったにもかかわらず、高校から理系に進み、社会科では地理を選択したこともあって、今の僕の歴史知識は非常に浅い。中学までの教科書と百科事典、「まんが日本の歴史」のレベルで、しかもその浅い知識でさえ年々薄れていくのである。昨年から月例で参加している勉強会では、縄文以降の歴史が論じられることも多く、僕自身の知識の足りなさを痛感させられている。そういったこともあり、今年は歴史関係の書を多く読むことにした。
本書は、とりあえず借りてきた2冊の縄文関係の本の内の1冊であるが、とても興味深かった。限られた発掘情報から想像力を武器に古の生活を浮き彫りにする様は非常に面白く、いくつかの学説の対比も分かりやすかった。栗栽培や猪のキーピング等が行われていたという縄文人の生活レベルの高さは驚きで、好奇心は高まったままである。
縄文時代の入門書としては"当たり"だったが、他の学説を読み進める前に、もう一度日本史と世界史をざっとおさらいしておいた方がいいと実感させてくれる一冊だ。