(05-072)

成長するものだけが生き残る

成長するものだけが生き残る

著者は、たえず成長しようとすることが人生を豊かにすることにつながり、これで十分と考えることは停滞と没落を意味すると述べる。そして、大きな目標を立てて、自身と他者の「心地よさ」を追及し続けることで人間も企業も成長できると主張している。
時々、取り上げられる例で「?」と思うところが2,3あったものの、するすると言葉が腑に落ちていく。最近、ある仕事の目的に疑問が芽生え、イライラしながらその仕事に向かっていたのだが、本著は別の角度からその仕事について冷静になって考える機会をくれた。そいう意味でいいタイミングで出会えた本だ。グサリと刺さったのは著者の上原氏が土光敏夫氏から言われた『人間は三十歳過ぎたら一人前です。三十歳過ぎて若いなんて言ったらいかん。そう言うということは、わずかながらでも、責任逃れをしたいという気持ちの表れです』(P.67)という言葉。イライラの原因に「甘え」がなかったか、改めて自分に問い直し、前向きに進むことを思い出した。
著者は「海洋温度差発電」の世界的権威とのことで、その内容についても本著で少し触れられている。全くその世界には疎いのだが、既に実用段階が近い技術だそうだ。全く話はズレてしまうが、フッと、同発電技術により、世界各地で起こっている資源争奪に起因する紛争が少しでも減ればなお良いのになどと思った。話はそう単純ではないだろうけど、そういった可能性だって十分に秘めているだろう。