(05-053)

日本型「成果主義」の可能性

日本型「成果主義」の可能性

数値目標とは本来、経営判断的要素であり、経営戦略なのだ。達成できたかどうかが厳しく問われるのは、一定の権限を握るポストの人間に限るべきで、そうでない一般の社員は「あくまで組織への貢献度」を中心に判断すべきだ。そしてそれが可能なのは、現場で直接部下を管理する上司、すなわち管理職しかいない。(P.149)

本書では、成果主義として日本で多く導入されている目標管理制度について、それが理論どおり機能する為の大前提、機能しない理由、改善方法を述べている。改善方法では、とりわけ、管理職ポストの見直しと、管理職の意識改革、その意識改革のための管理職への厳しい成果主義の適用に重きをおいている。著者は年功序列制度の方が優れているとしながらも、現在においては成果主義は導入せざるをえないとしている。既知のことも多く含まれていたものの、株式会社メリーチョコレートカムパニーの評価手法等は興味深く読めた。
僕は成果主義肯定の立場だ。僕の所属する会社が外資だった頃(だったと思う)、成果主義(目標管理制度)が導入された。悪名高かったことに変わりは無いが、それでも年々人事が試行錯誤し、改善を試みていたのは認める(毎年の様に方法が変わるので、それはそれで僕らも大変だった)。事実、当初は存在していた、本書に挙げられている問題点の内のいくつかは徐々に解消されていった。そして今また、異なる評価システムに放り込まれたわけだ。評価される僕らはそのシステムを早く理解する必要がある。願わくば、「高評価=会社及び社会に高貢献」で可能な限りフェアなものであって欲しい。