(05-048)

NobuHat2005-07-14

壊れる日本人 ケータイ・ネット依存症への告別

壊れる日本人 ケータイ・ネット依存症への告別

テレビを見せないとかテレビを見る時間を少なくするといった形式的な制約だけでは、子供は行き場を失ってしまう。その時間を親が子供とどう接するかにかかっているのだ。(P.173)

柳田氏は、「IT革命の影の部分」を「二十一世紀の負の遺産」とし、その負の遺産により「ケータイ・ネット依存症」に病んでいる1980年代以降の子供及び大人たちは、「非効率主義のすすめ」を実行し、「あいまい文化」なる日本語の言語活動を時代に見合った形で蘇生させることで、その病理を克服すべきと論じている。そして蘇生させるためには、文化の標準化を図らず、個々の文化を大事にし、未来を担う子供たちを電子メディアから適度に遠ざけ、その時間を親兄弟と愛情豊かに過ごすべきだと結論付けている。
彼の言う「電子メディア」にどっぷりつかり、それを生業としている僕にとっては同意しかねる部分も多々あったものの、「人の痛みを思わない子の育て方」以降の章は素直に同調できた。何事ものめり込み過ぎは良くないし、たまにフッと肩の力を抜くことは大切だろう。また、子供と向き合う大切さも十分に理解しているつもりである。柳田氏はこの言い方は嫌いかもしれないが、所詮「電子メディア」は僕にとっては道具(ツール)でしかない。そのツールに使われない人間に如何になるかが鍵だと思った。

  • 「ノーゲームデー」:うちにはTVゲームも携帯型ゲームもない。買うつもりもない
  • 「ノーテレビデー」:TVはマメに消しているので実行可能。
  • 「ノーインターネットデー」:時々している。
  • 「ノー電子メディアデー」:試みるのも良いだろう。

問題は、我が家はこれでも良いが、家族がいつなんどき事件や事故に巻き込まれる可能性はあるだろう。そうならないために社会全体が何がしかの精神的な成長をしなければならない。本書はわずかかもしれないが(だって変わらなければならない人たちはこの本を読むとは思えない)、その一助にはなるものと思う。