(05-040)

ロシアン・ルーレット

ロシアン・ルーレット

朝日新聞の書評欄に騙されて(?)手にとってしまった、ヌルリとした感じの小説。著者後書きには「ジャンルによらないこうした小説」。短編を紡いで一つの長編となっており、最期はちょっとした仕掛けであっけなく終わり。とりたてて面白いという実感はなかったが、何故か最期まで読むのを止められなかった。『狂気』への怖いもの見たさといった好奇心からかもしれない。
「人はどうして他人(ひと)の気持ちを理解することができないのかしら。」とは、ある登場人物の言葉。しかし、現実では自分の気持ちさえ、積極的に自問しない限りは、完全に理解するのは難しい、と僕は思う。ましてや、それが良いモノなのか悪いモノなのか、『傲慢』、『エゴイスティック』、『邪悪』、『卑劣』に置き換えられるのか、公正に判断できる人間なんて存在しえず、結局はなにかしらの思い込みで理解したフリをするだけなのだろうな。