子どものこと話そう:子ども連れでの外出/1=重松清】(毎日 6/7)

それでも、いまの僕は、ちょっと違うことを考えている。

幼児から小学生ぐらいまでは、なるべく公共の交通機関を使ったほうがいいんじゃないか−−。

決して自分の子どもが大きくなったからという理由ではない。マイカーでの旅行の気軽さや自由さは十二分に認めるが、公共の乗り物で子どもが「社会」に触れることの意味を重んじたいのだ。

我が家に自家用車は無い。結果、公共の交通機関はどこに出かけるにも重宝している。小さい頃から乗りなれているせいか、娘(8歳)も息子(3歳)も車内で騒ぐといったことはまず無い。但し、子供たちが小さい頃は、疲れが酷くなると自然に機嫌も悪くなり、帰りの電車でグズり大声で泣くことはたまぁにあったような気がする。そんな時はやはり周りの人たちに申し訳なく思い、なんだか肩身の狭い思いをした。そんな経験もあってか、僕は就園前の小さな子供が電車の中でグズっていてもほとんど気にならず、「可愛いなぁ」と思うくらいだ。ところが、幼稚園以上の子供が騒いでいると、ちょっと親を白い目で見てしまう(かなりにらんでいたかもしれない)。なぜ親は注意しないのか、注意しても子供が静かにならないのか、僕自身わからないからイライラするのだ。今回の重松氏の『昨今うんざりするぐらい批判される若者の「公共心の欠如」や「傍若無人ぶり」は、マイカーの普及率のアップと決して無縁ではないのでは……。』という問いかけには「なるほど!」だ。たぶん子供だけでなく、親も公共の場で怒ることに慣れていないのかもしれない。電車の中で騒ぐ子に注意する場合、一番効果的なのはゆっくり、ささやくように小さな声で話しかけることだ、と経験上感じている。びっくりするくらい静かになるので、困っている人は試してください。責任は持てませんが。。。