パフォーマンス・マネジメント −問題解決のための行動分析学− 島宗理(著)】(05-009)
パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学

仕事や人間関係がうまくいかないとき、我々はその原因を他人や自分の性格や能力、やる気や適正のせいにして、問題解決のためのアクションをとらないことが多い。
これを個人攻撃の罠という。上司として仕事をしていると、特に陥りやすい罠である。自分の責任ではなく人の責任とするほうがたやすいからだ。でも、この罠にはまっている限り問題は解決しない。また、罠にはまった上司の元では部下が育たない。(P.4)

  • ABC分析:A(Antecedent:先行条件)、B(Behavior:行動)、C(Consequence:結果)の関係を行動随伴性といい、その行動随伴性を分析することをABC分析という(P.7)
  • 強化の原理:行動することで、何か良いことが起こったり、悪いことがなくなったりすると、その行動は繰り返される(P.7)
  • 弱化の原理:行動することで、何か悪いことが起こったり、良いことがなくなったりすると、その行動は繰り返されなくなる(P.16)
  • 復帰の原理:行動は弱化されないと、元通りに起こりやすくなる(P.17)
  • 消去の原理:行動は強化されないと、元通り起こりにくくなる(P.17)
  • 弁別の原理:行動は、強化の先行条件によって引き起こされ、弱化の先行条件によって抑えられるようになる(P.18)
  • 派生の原理:好子や嫌子が現れると、そのとき、そこにいた人やそこにあった物、状況などが、好子化したり、嫌子化したりする(P.28)
  • 部分強化の原理:いつも強化される行動よりも、たまにしか強化されない行動の方が消去されにくい(P.45)
  • 反発の原理:嫌子が出現したり、急に行動が消去されると、反発したり、相手を攻撃する行動が起こりやすくなる(P.45)
  • 分化の原理:強化される行動は、強化されない行動に比べて増えていく。弱化される行動は、弱化されない行動に比べて減っていく(P.63)

問題が発生した場合や目標達成を試みるとき、上記引用の「個人攻撃の罠」にはまることなく、その「行動随伴性」を分析し効果的なアクションを如何にとるかについて解説してある本である。
教科書となる本の常か、最初の方はつまらなかった。例があまりに安易かつ陳腐に思えたからだった。ところが半分を過ぎたところあたりからじっくりと考えながら、咀嚼しながら読めた。今までの自分の失敗(勉強、仕事、子育て等の失敗だ)と照らし合わせながら、それらの原因と対策を考えながら読めたのである。既に自分が意識して実践していることが良い例として書かれていると、ちょっとニンマリしてしまった。読み終わってみると、前半の安易な例も後半の為の布石だったのかと考えることができた。
実は今年の初めに立てた目標で、一つ守れていないものがある。「嫌いな癖を1つ無くすこと」だ。「恥ずかしい」という嫌子があるにもかかわらず、無くならない。まずはこの癖の好子はなんなのかといったところから分析したい。