複合汚染 (新潮文庫)

複合汚染 (新潮文庫)

何気なく本棚から取り出した本。妻が学生の頃、レポート用に購入させられた本だそうだ。6年前に読んだ「奪われし未来」を思い出すこの本、昭和49年〜50年にかけて朝日新聞朝刊に連載されていた小説というから、私が幼稚園か小学校の頃の本ということになる。当時の日本の環境問題が生々しく描かれており、著者の怒りと憂いが伝わってくる。通学路の脇に横たわる溝の中や河に漂っていた割れない泡を思い出した。私の両親もこの本を読んだのだろうか。子供を育てている今、当時の親の持った戦慄は想像に難くない。この小説の時代から30年が経過した現代、実態はどの様になっているのだろうか。日本のスーパーに並ぶ野菜や果物はいまなおピカピカだ。外国の八百屋等で見かける農作物とは明らかに違う。BSE鳥インフルエンザ等、食の危機が持ち上がっている今、別の意味で食の危機を見直すきっかけになった。機会があれば、この種の題材で現在を扱った本を探して読みたいと思う。