(08-030)人類だけが突如消えたら

人類が消えた世界

人類が消えた世界

本書では、最近の地球環境の急速な変化とその原因について、人類がある日忽然と姿を消したとしたら世界がどう変わっていくのかという問題から出発して考察したものだ。
びっくりしたのはマンハッタンの地下河川の話。日々働き続けるポンプ施設が停止すると2500L/分のスピードで湧き出る水によって30分ほどで地下鉄は止まってしまうそうだ。東京の埋立地をを走る地下鉄だって同様じゃなかろうか。
更に衝撃的だったのは微生物でも飲み込むことができる粉のようなプラスチックが海に広く浮遊しているという話だ。それらは人工素材を使った皮膚摩擦材や航空機・船舶の塗装を剥がす目的で使用されるプラスチック粒子で、日々自然環境の中に垂れ流されているという。
本書の内容全てに賛成することはできないが、多くの人がこの本を読み、子供たちや子孫達を思い、人間ができるだけ長く生きていくために自分に何ができるかを考えるのはいいことだと思う。
ところで、和訳に難があるのか、本書で用いられている「悪い」という表現の対象がはっきりしない。人類が生きていくための環境に悪いのか、残された他の生物に対して悪いのか、それとも地球それ自体にとって悪いのか。どことなく違和感を感じたところである。