(08-029)裏側は大切

軍需物資から見た戦国合戦 (新書y)

軍需物資から見た戦国合戦 (新書y)

主に北条氏が残した史料を基に、戦国大名が如何にして植物資源を利用管理し、自然環境にどのような影響を与えたか論じた本。
小説や教科書、ドラマや映画の表舞台には殆ど登場しない話題やけど、こういった裏側がことの本質を物語っていることも多いだろう。
自然環境を猛スピードで変え続けて来ている現代だからこそ、以下引用で述べられている盛本氏のご意見は大切だと思う。
しかし、中央線の車窓から見える景色にはよく赤松が登場する。あれも数百年前に武田家の命により伐採された名残なのかなぁ。

従来の歴史学は政治や社会構造を扱ったものが中心であったが、今後は環境に関する視点を取り入れて、従来の歴史学が明らかにしてきたことを捉え直すことが求められよう。政治や社会構造に環境が影響を与えるのであり、その相互関係を踏まえることで、従来とは異なる政治や社会構造の在り方が見えてくるはずである。そして、歴史学が現代的課題に貢献するには、こうした視点からの研究が必要であると考えられる。(P.217 「おわりに」より)