(06-045)蒙古襲来

前回読んだ「蒙古襲来と徳政令 日本の歴史〈10〉」と重ねれば、スルスルと時代の流れが読み取れる。外圧と世の混乱・価値観の変化、鎌倉時代末期は現代に通ずるものあり。現代は外圧と混乱が短周期で巡っているが、"変調"的に見れば流れを摑みやすいかもしれないというヒントを得た。
本書の「まえがき」では著者が『資料の解釈について、すでに誤りであることが明らかになっている部分、史実の評価が適切でない箇所も、そのままにせざるを得なかった。この点、読者の御海容をお願いしたいと思う』と述べている。僕みたいな素人にはどの部分で解釈が誤りなのかさっぱり分からない。注釈くらい付けてくれ。
とはいえ、時代の流れを大雑把に把握するという僕の本書通読の目的には十分沿う本だったと思う。庶民、支配される側の人間のしたたかな生活が少しずつ現れてきているところが興味深い。特に上巻では非農業的生業に携わった人々の紹介に36頁も割いており面白かった。
この間歩いた化粧坂鎌倉幕府最後の激戦の地だとは今日まで知らなかった。知っていれば歩くときの気持ちも少し違っていただろうに。