(06-038)日本の歴史09 頼朝の天下草創

頼朝の天下草創 (日本の歴史)

頼朝の天下草創 (日本の歴史)

民の幸せと安全を忘れ、自らの権力欲に溺れて武を利用しようとした朝廷がその武の政治的発言力を大きくしてしまい、挙句の果てに朝廷の政治力ばかりか、その頂点に立つ天皇位の決定権さえ武士(とは行っても元をたどれば貴種と呼ばれるところに行き着くのだが)に奪われてしまう時代のお話。皮肉なものだ。当初は権力奪取を試みるも、この時代から現代まで、天皇が政治の実権を握ることは無い。
本書で、僕の頼朝観、実朝観は改善された。そこに新しい人間像が浮かんできた。学校で習う歴史だけではなく、様々な角度から論じている本を読むのは楽しいものだ。その楽しさを、手段が目的化した「受験」に奪われ、「覚えなければならないことが多いから」という理由で歴史を敬遠・嫌悪する生徒達は不幸だよ。