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青春を山に賭けて (文春文庫)

青春を山に賭けて (文春文庫)

アルピニスト野口健氏がその道に進むきっかけを与えた本ということで、細君が借りてきていたので拝借。世界初五大陸最高峰登頂をそのうち4つを単独で成し遂げた植村直己による自伝。次の夢に向かって突き進む直前の本だ。もの凄く大変なことをこれほどユーモラスに書けるとは、改めて凄い人だ。明確な目標を立て、それに向かい我武者羅に突き進んでいく姿勢は見習わないといけない。本書は植村氏が5大陸最高峰登頂を終え、次なる夢に羽ばたく直前にかかれたものである。周知のとおり、彼は夢半ばマッキンリーで命を落としている。読中、前回読んだ「今日は残りの人生の最初の日」で紹介されていたあるジャーナリストの言葉が思い出された。以下引用。

テリー・フォックスのレースは終わった。彼はついに完走することはなかった。わたしたちもまた同じだ。完走することなど誰にもできはしない。大切なのは走ること。ゴールを設定すること。途中でやめないこと。決してあきらめないこと。一生懸命、まっすぐな気持ちで走りつづけること。人間の尊厳のかぎりをかけて走ること。忘れてはならないのは、走ることによろこびを感じること。そして人生の冷酷さに泣くのと同じくらい、人生の不条理を笑い飛ばすこと」(「今日は残りの人生の最初の日」P.57)