(06-029)

武士の成長と院政 (日本の歴史)

武士の成長と院政 (日本の歴史)

前巻が貴族中心に描いた平安時代であれば、本巻は武士中心の平安時代である。律令国家の軍団兵士制の廃止から、受領・勇敢富豪層等の俘囚戦術を踏み台とした群盗鎮圧、そして天慶勲功による武士としての社会的認知獲得から権力闘争の中で武士が力を増していく様子が著者の新鮮な解釈と共に記されている。
恥ずかしながら、「俘囚」と呼ばれていた人々の存在を初めて知った。彼らが武士の成り立ちに大いに影響を与えていたにもかかわらず、である。中学レベルの日本史は浅すぎるなぁ。しかも、当時勉強した歴史とは異なる部分の多いこと多いこと。それ故に読んでいて面白い。現代日本で「問題」として扱われている近隣諸国との摩擦についても、その根幹を理解する上で参考になる事象や解釈も満載だ。