(05-075)

サウジアラビア 中東の鍵を握る王国 (集英社新書)

サウジアラビア 中東の鍵を握る王国 (集英社新書)

宗教と石油利権が複雑に絡み、内政・外交それぞれに矛盾を孕んだ不安定な国、サウジアラビアを説明した本。
旧ソ連アフガニスタン侵攻、9・11テロ、そして米国のイラク侵攻により、、オイルマネーを国のためではなく王族のために利用し続ける王政がさらに増すワッハーブ主義勢力の圧力でグラグラと揺らいでいるのがよくわかる。本著を信じるならば、中東情勢はサウジアラビアを発端として急激に変化する可能性があり、日本に与える影響はかなり大きなものになると考えられる。
昨日政府はイラク自衛隊駐留をさらに1年延長することを決定した。少し前まで時折入って来ていたニュースからは、彼らが現地の人々の文化や生活を尊重しつつ活動していたのが良く伝わってきていた。最近は大手メディアの直接の取材もなく、自衛隊の具体的な活動内容はあまり良く知らされていない。不安定な要素が増える中での1年は決して短くはないだろう。彼らの安全を祈るばかりである。皆が他国の文化や他人の宗教観・考え方をいつでも尊重できるならば、争いというものはもう少し減少させることができるだろうに。
本書は今まで殆どその歴史や内政事情を知らなかったが、多くの情報を得ることができた。但し、原書がそうなのか、訳が悪いのか、はたまたアラブ系名詞がたくさんでてくるからだろうか、とても読み難かったのが残念。読み返しが増えて、読書にかなりの時間がかかってしまった。