(05-023)

ドナービジネス (新潮文庫)

ドナービジネス (新潮文庫)

本書から連想したのは、数年前に読んだ帚木蓬生氏の無脳症を扱った小説「臓器農場 (新潮文庫)」。ところが、ノンフィクションの本書を読むと、同書は所詮フィクションだ。
本書は、第一部で実際に臓器を買った人々、卵子を提供したり、人間製造機と化した代理母となった女性についてレポートし、第二部では、それらのバックで這い回る臓器ビジネスの実態をレポートしている。
人とは何なのか。どこまで許されるのか。誰が許す許さないを決めるのか。読みながらも疑問がどんどん湧いてくる。当事者で無い限り、疑問への答えは見つかりそうにない。当事者であっても、やはり答えを見つけるのは困難だろう。
まず、自分自身が許せるかどうか。ドナーカードの所持については、最初から考え直す。